最近、「不整脈がある気がする」「胸がドキドキすることが増えた」と感じて、Apple Watch の購入を検討している人は少なくありません。
かつての僕もその一人でした。
- なんとなく胸が苦しい
- 脈が飛ぶような感覚がある
- 健康診断は1〜2年前に受けたきり
- 年齢的にもそろそろ心臓が気になる
そんな不安の中で、「Apple Watch で心拍数を常に計測していれば安心できるのでは?」 と考えていました。
しかし、調べていくうちにわかったのは、
- Apple Watch は医療機器ではない
- 不整脈の診断ツールとしては不十分
- むしろ不安を強める可能性すらある
という事実でした。
Apple Watch は「医療機器」ではない
誤解されがちですが、Apple Watch はどれだけ高機能になっても、現時点では医療機器ではありません。
たしかに以下のような健康機能は充実しています。
- 心拍数の常時計測
- 血中酸素濃度(SpO₂)の測定
- 不規則な心拍リズムの通知(対応モデルのみ)
- アクティビティや睡眠のトラッキング
しかし、Apple 公式でもはっきりと、
- 診断目的には使えません
- 病気の有無を確定するものではありません
- 異常の見落としや誤検知の可能性があります
といった趣旨の注意書きがされています。
Apple Watch が不安を「増やしてしまう」ケースもある
特に、もともと健康不安が強い人にとっては、Apple Watch が逆効果になることもあります。
- 心拍数の数字が気になって何度もチェックしてしまう
- たまたま心拍数が高い時間帯があると、必要以上に不安になる
- SpO₂ の値が少し低く出ただけで「大丈夫なのか?」と心配が膨らむ
- 通知が来ない=健康だと誤解してしまう
本来は「日々の生活を便利にするガジェット」のはずが、
「不安を監視し続ける道具」になってしまうことも珍しくありません。
本当に安心したいなら「ホルター心電図」が最短ルート
では、不整脈が心配な人にとっての最適解は何でしょうか?
結論から言うと、
Apple Watch を買う前に、循環器内科で「ホルター心電図」を受けることです。
ホルター心電図とは?
ホルター心電図は、24時間分の心電図をまるごと記録する検査です。
- 胸に小さな装置と電極シールを貼る
- そのまま24時間、普段どおりの生活をする
- 一日分の心臓のリズムをすべて記録
一般的な健康診断で行う「数十秒の心電図」では、たまたまその瞬間に不整脈が出なければ何もわかりません。
一方、ホルター心電図なら、
- 日中だけ出る不整脈
- 夜間にだけ出る不整脈
- 運動時やストレス時にだけ出る不整脈
といった「出たり出なかったりする不整脈」も、高い精度で拾うことができます。
どんな人に向いている検査か?
- 動悸を感じることがある
- 胸がドキッと跳ねるような感覚がある
- 時々息苦しさを感じる
- 健康診断では「異常なし」だったが、まだ不安が残っている
- Apple Watch の導入を真剣に検討するほど心臓が気になっている
こういった方には、ホルター心電図は「不安を最短で減らすための検査」と言ってもいいくらい有効です。
検査の流れはシンプル
- 循環器内科を受診する
「不整脈が心配なので、ホルター心電図を受けたいです」と伝えれば大丈夫です。 - 検査日を決める
クリニックによっては即日装着できる場合もあります。 - 装着して24時間生活する
普段どおりの仕事や家事、外出をしてOK。お風呂だけ控えるよう指示されることが多いです。 - 翌日装置を返却する
- 後日、結果説明を受ける
1日の心電図データを解析し、どんな不整脈がどれくらいの頻度で出ているかを医師が説明してくれます。
症状があれば健康保険が適用されることがほとんどで、自己負担は数千円〜1万円弱程度に収まることが多いです。
Apple Watch と医療の「役割分担」を間違えない
ここまで読むと、
- 「じゃあ Apple Watch は無意味なの?」
と思うかもしれませんが、そうではありません。
Apple Watch の得意分野
- 日常的な心拍や運動量の「傾向」を見る
- 歩数や消費カロリーを記録し、運動習慣づくりのモチベにする
- 睡眠時間の目安を知る
- 通知・決済・アラームなど、生活を便利にする
つまり、Apple Watch は「生活改善のためのガジェット」としてはとても優秀です。
医療が担うべき分野
- 不整脈が危険なタイプかどうかの判断
- 心臓病リスクの評価
- 必要に応じた投薬や経過観察
- 「異常なし」と専門家に言ってもらう安心感
この部分を、Apple Watch で肩代わりさせるのは無理があります。
診断や治療は医療、
日々の習慣管理は Apple Watch。
この役割分担を意識しておくことがとても大事です。
僕が出した答え:「まず検査。そのあと必要なら Apple Watch」
不整脈が心配だった僕は、Apple Watch を買う前に、
- 人間ドックや健康診断で心電図・血液検査を受ける
- 必要に応じてホルター心電図も検討する
という選択をしました。
その上で、
- 大きな異常がないことを確認してから、日々の運動や睡眠管理のために Apple Watch を使う
という流れにしたほうが、精神的にも経済的にも納得感が高いと感じたからです。
不整脈が不安で Apple Watch を買おうとしている人ほど、
「まずは検査で安心を取りに行く」
この順番をぜひ意識してみてください。
まとめ:その不安、Apple Watch ではなく「ホルター心電図」で解決しよう
- Apple Watch は便利だが、医療機器ではない
- 不整脈の診断や安心のためには、循環器内科での検査が必須
- ホルター心電図は「1日の心臓の動き」を丸ごと記録できる心強い検査
- 症状があれば保険適用され、自己負担は数千円〜程度で済むことも多い
- 検査で大きな問題がないとわかれば、その後 Apple Watch を「生活改善ツール」として前向きに使える
もし今、あなたが
- 不整脈が怖い
- でも何から始めればいいかわからない
という状態なら、
今日できる一歩は「近所の循環器内科を1件だけ調べてみること」です。
Apple Watch を買う前に、一度「医師の言葉」という一番の安心を取りに行ってみてください。
